身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
屋根が傾いた家と呼ぶのも気の毒な住まいもある。男はそんな粗末な住居が並ぶ一角に迷わず脚を踏み入れた。
数件並んだ小屋の一つの戸をそっと押し、中を窺うように見る。
「ソル爺さん、調子はどうですか?」
この家の人とはかなり親しい間柄のようで、彼は気さくに声をかけながら中に入った。
「若さま(トルニム)」
小屋の中は見かけよりは随分と整然として、人の住み家らしかった。がらんとした室内の片隅に薄い夜具が敷かれており、そこに痩せた老人が横たわっている。この老人がソル爺さんなのだろう。
「よう、こんなボロ家にお越し下さいましたのぅ。いつもいつも済まないことで」
ソル爺さんが慌てて身を起こそうとするのを、男は駆け寄って止めた。
数件並んだ小屋の一つの戸をそっと押し、中を窺うように見る。
「ソル爺さん、調子はどうですか?」
この家の人とはかなり親しい間柄のようで、彼は気さくに声をかけながら中に入った。
「若さま(トルニム)」
小屋の中は見かけよりは随分と整然として、人の住み家らしかった。がらんとした室内の片隅に薄い夜具が敷かれており、そこに痩せた老人が横たわっている。この老人がソル爺さんなのだろう。
「よう、こんなボロ家にお越し下さいましたのぅ。いつもいつも済まないことで」
ソル爺さんが慌てて身を起こそうとするのを、男は駆け寄って止めた。