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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

「ソルさん、無理は止めて下さい」
 自分よりはるかに身分の低いであろう老人に対して、男はきちんと敬語を使っている。ちゃんと目上の人への礼儀をわきまえて振るまっていた。
「ソンドンがいなくなったっていうのに、いつまでも、こんなところにお越し下さるとは、ありがたいことです」
 男はソルの枕辺に座り、微笑んでいる。
「何を水くさいことを言われるんです。ソンドンは私の親友でした。ソンドンがいなくなった今だからこそ、こうして伺うのです」
 彼は袖からおもむろに小さな包みを取り出した。
「いつもの薬です。よく煎じてから、呑ませて貰って下さい」

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