身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
明姫はしゃがみ込むと、回りを飛び跳ねるマルと同じ眼線の高さになった。
「宮女といっても、まだほんの下っ端。去年、見習いから一人前になったばかりなのよ」
「それでも、私たち常民(サンミン)が宮殿の奥深くにお住まいの女官さまと直接こうして口をきく機会などありませんから」
女の物言いには気のせいか、少し刺があるように感じられたが、気のせいだったろうか。
常民というのは奴隷である隷民とは異なり、ごく一般の庶民だ。
取りつく島もない態度に、明姫は黙り込んだ。これでは話をしようにもできない。そんな明姫を無視して、女は男に微笑みかけた。
「若さま、これから汁飯(クッパ)を作ろうと思いますの。お口には合わないでしょうが、いつものようにご一緒にいかがですか?」
「宮女といっても、まだほんの下っ端。去年、見習いから一人前になったばかりなのよ」
「それでも、私たち常民(サンミン)が宮殿の奥深くにお住まいの女官さまと直接こうして口をきく機会などありませんから」
女の物言いには気のせいか、少し刺があるように感じられたが、気のせいだったろうか。
常民というのは奴隷である隷民とは異なり、ごく一般の庶民だ。
取りつく島もない態度に、明姫は黙り込んだ。これでは話をしようにもできない。そんな明姫を無視して、女は男に微笑みかけた。
「若さま、これから汁飯(クッパ)を作ろうと思いますの。お口には合わないでしょうが、いつものようにご一緒にいかがですか?」