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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

 その朝、ユンは大殿の執務机に向かっていた。今日も大殿前ではご苦労なことに、廷臣たちが揃い、明姫の処分を迫っている。
 よくもあれだけ根気が続くものよ。ユンはほろ苦く笑った。つまりは、それだけ金淑媛は皆から良くは思われていないということになる。
 何故なのだろう。あのように心優しく賢い娘は探しても滅多といない。なのに、何故、誰もが明姫を妖婦だと決めつけるのか。
 それはやはり、黄内官の指摘したように、国王である彼が明姫だけを一途に求め愛しすぎたからだろうか。彼の烈しい愛が明姫をのっぴきなぬ立場に追い込んだのか。

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