身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離
ユンは固く眼を閉じた。自分の心を―明姫への想いを意思の力を総動員して封じ込める。
それから眼を開き、傍らの玉爾を手に取ると、眼前の書状に捺した。
「―」
ユンの瞳からは涙がとめどなく溢れていた。
この国に長く続いた王朝、歴代の王の中で、自分ほど不甲斐ない王はいないだろう。王という立場にありながら、想い人、たった一人の女すら守れない情けない男だ。
明姫、済まぬ。不甲斐ない私を許してくれ。ユンは最愛の女に心で詫びながら、涙を流して、それが王命であることを示す書状に王印を捺したのだった。
それから眼を開き、傍らの玉爾を手に取ると、眼前の書状に捺した。
「―」
ユンの瞳からは涙がとめどなく溢れていた。
この国に長く続いた王朝、歴代の王の中で、自分ほど不甲斐ない王はいないだろう。王という立場にありながら、想い人、たった一人の女すら守れない情けない男だ。
明姫、済まぬ。不甲斐ない私を許してくれ。ユンは最愛の女に心で詫びながら、涙を流して、それが王命であることを示す書状に王印を捺したのだった。