テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離  

 宮殿から遠く離れたこの山寺で子は流れた―という筋書きのため、わざわざ確認に来る者もおらず、話はすんなりと通った。特に宮殿でも怪しまれている風はないと崔尚宮からの書状が届き、安堵している。
 今宵、この人里離れた寺では、祭りが行われた。祭りといっても、供養のようなもので、亡き人の魂を鎮めるために行うものだ。
 そのため、本堂の屋根の下には灯籠がふんだんに吊られ、張られた白い紗(うすぎぬ)を通じて紅い焔が揺れている。
 大きな寺なので、かなりの広大な敷地に本堂や様々な伽藍が点在している。明姫の他にも修行中の僧侶や小僧、柔和な面立ちの住職、更には寺男やその家族など様々な人が暮らしている。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ