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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第12章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再会

 初めは和尚の言葉の意味が今一つ理解できなかった。でも、次の瞬間、明姫は〝あ〟と小さな声を上げていた。
―つまり、私が哀しみに暮れているときは仏さまも哀しそうに見えるし、裏腹に歓びに浸っていれば仏さまも嬉しげに見えるということなのですね?
 和尚は嬉しげに笑い、頷いた。
―流石は明姫さま、飲み込みも早い。そのとおりです。ゆえに、恐らく、明姫さまが御仏の微笑を哀しげなものと思うときには、ご自身が沈んでいらっしゃるのでしょうて。
 今夜の御仏のお顔は? 明姫は立ち上がり、しげしげと黄金の巨大な仏像を見上げた。

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