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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】  涙の味

「あら、ヒャンダン。ここの暮らしもそう棄てたものではないのよ。都と違って騒がしくもないし、空気も綺麗だしね。野菜だって、獲れたてのものをすぐに頂けるから、美味しいの」
 明るく返す明姫を見て、ヒャンダンはまた大声でわんわんと泣く。
「お労しい。かつては国王さまのご寵愛第一のお妃として時めいていらっしゃったお方が―」
 明姫は笑った。
「ヒャンダン、私はもう王さまのお妃ではないの。ただの明姫よ。ただ人の私には、今の暮らしが合ってるし、元々、私はお妃には向いてなかった。綺麗な服を着て身を飾り、じいっとしているのは苦手だったのよ。今のように動きやすい服で身体を動かしている方がよほど良いの」

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