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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

 男はまた謝り、慌てたように手を放した。
「その、また膝枕して貰っても良い?」
 物凄く恥ずかしそうに言うので、かえって毒気を抜かれて、腹立たしさも霧散してしまった。見かけどおりの甘えん坊なのね。
 自分より六歳も年上の男がまるで年下のように感じられて、少しおかしい。
 また膝枕してやると、男は本当に心から嬉しそうに笑った。ああ、この笑顔も反則だわ。
 と、心で思う。恐らく、この見るからに人の好い男は駆け引きなどしない―というより、できないのだろう。素直に思ったままに感情を露わにする。それが彼をして時々、酷く子どもっぽく見せるのだ。

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