夢で逢えたなら~後宮秘談~
第1章 恋の訪れ
その話を聞くなり、母は絶句した。飲んだくれた挙げ句、我が娘を妓房に売り飛ばすような父親を持つ七福がその後、どのような人生を辿ったかを悟ったに違いない。
母にはその時、既に殊の顛末のすべてが見えていたのだろう。頭を抱えるようにして座り込んだ母は、〝哀號(アイゴー)、何てこった〟と、うわ言のように繰り返していた。
果たして、母の懸念は不幸にも的中した。七福は薬代は必ず利子をつけて返すとまで言っていたにも拘わらず、その後、二度と姿を現さなかった。恐らくは、七福は父から騙し取った人参を更に闇で高値で売り飛ばし、法外な金を手にしたに違いない。
母にはその時、既に殊の顛末のすべてが見えていたのだろう。頭を抱えるようにして座り込んだ母は、〝哀號(アイゴー)、何てこった〟と、うわ言のように繰り返していた。
果たして、母の懸念は不幸にも的中した。七福は薬代は必ず利子をつけて返すとまで言っていたにも拘わらず、その後、二度と姿を現さなかった。恐らくは、七福は父から騙し取った人参を更に闇で高値で売り飛ばし、法外な金を手にしたに違いない。