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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第1章 恋の訪れ

 店にあったすべての人参を七福に分けてやった父は、忽ち商売にゆきづまった。人参を卸してくれる仲買人には、実はその分の支払いはまだ済んでいなかったのだ。
―あんたが人の好いのはよく知っているが、わしらも苦労して高い人参を仕入れてるんだ。人の好いのも度を越せば、単なる馬鹿と同じじゃないか。とっとと、この間、渡した分の代金をきっちりと耳を揃えて返してくれよ。

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