夢で逢えたなら~後宮秘談~
第2章 揺れる、心
室を出た後、百花は先刻、下げたばかりの器が廊下に重ねられているのを哀しい想いで眺めた。
立場が人を決め、地位ある者が権高にふるまうのは、今の世の中では当たり前。でも、それは本当に正しいことなのか? 封建制度が当然の今の時代に、こんなことを考える自分の方がおかしいのかもしれない。それでも、彼女は心から思わずにはいられない。
たとえ、いかほど輝かしい宝玉を身に飾り、美しい衣裳を纏おうとも、沈貴人のように心の醜い女(ひと)が本当に美しいといえるのだろうか。賤しい身分に生まれたら、どのように気高い魂や志を持っていても、科挙の受験資格さえない。科挙は官吏になるための登竜門だが、受験できるのは一定の身分以上の者に限られている。
立場が人を決め、地位ある者が権高にふるまうのは、今の世の中では当たり前。でも、それは本当に正しいことなのか? 封建制度が当然の今の時代に、こんなことを考える自分の方がおかしいのかもしれない。それでも、彼女は心から思わずにはいられない。
たとえ、いかほど輝かしい宝玉を身に飾り、美しい衣裳を纏おうとも、沈貴人のように心の醜い女(ひと)が本当に美しいといえるのだろうか。賤しい身分に生まれたら、どのように気高い魂や志を持っていても、科挙の受験資格さえない。科挙は官吏になるための登竜門だが、受験できるのは一定の身分以上の者に限られている。