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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 武芸―事に弓や剣に卓越した腕を見せるという王は、宮中武官よりも腕が立つ。一部では、〝護衛の要らない王〟だと囁かれていた。警護の厳しい王宮に外部から賊が侵入することはまずあり得ないが、稀に内部者に化けた暗殺者が潜入することがあった。
 四年前といえば、王はまだ王位を継いで四年目、十四歳の少年にすぎなかったが、当時、幼少の国王を頂く朝鮮は民心もいまだ安定していなかった。殊に外孫である国王を傀儡とし、意のままに国政を動かす領(ヨン)議(イ)政(ジヨン)孫任徳に反感が集まっていた頃だった。その不満分子がついに爆発したのが〝カンナの変〟と呼ばれる事件である。

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