無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　仲買人の薬草の仕入れ先は様々である。明国からの密輸品をひそかに入手する―もちろん、これは違法である。従って、非常に危険が伴う―こともあれば、山を歩いて稀少な薬草を摘み取り、それを売って生業(なりわい)とする薬草取りから直に買い付けることもあった。殊に人参ともなれば、容易に手に入る代物ではない。仲買人の怒りも当然ではあった。
　それでも、あまりの罵詈雑言に、百花は両耳を塞ぎたい想いを堪えて、小石を投げてやった。　
―い、痛ってえな。何しやがるんだ、このガキ。