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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

―見事に化けたものだな。それでは、誰が見ても、そなたが男だと見抜ける者はいなかっただろう。
 実際、小柄で初々しい女官は王が見ても少女にした見えなかった。大方、事を成し遂げるまでは用心して声色も変えていたのだろう。
 王はいかにも悔しげに言って見せながらも、一瞬の隙を逃さなかった。正体を見破られて虚を突かれた相手が怯んだ頃合いを見計らい、思いきり正面から体当たりを喰らわせ、相手がよろめいた拍子にその手から懐剣をはたき落とす。

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