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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 国王を本来守るべき内官が裏腹にその王に守られたという心温まる、なおかつ珍妙な事件であった。しかし、まかり間違えば、国王の生命が危険に晒されていたのだ。これ以降、女官・内官を採用する際の身許調査は更に徹底されることになる。
 そんな逸話を持つ国王だけに、国王自ら武芸対決を請われても、丁重に辞退する武官は多かった。それほど王の武勇伝は内外に轟いていたのだ。
「あっ」
 情けないことに、凛々しい王の姿に眼を奪われている中に、手許の注意を怠っていたようだ。積み重ねた皿の山が一瞬、グラリと傾く。

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