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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 王の声が笑みを含む。
 今日は流石に、からかわれているとは思わなかった。恐らく、ユーモアの感覚のある方なのだろう。だから、大変なこともこうして笑いに紛らわせてしまおうとするのかもしれない。
 もっとも、王当人は〝予は冗談の言えぬ質なのだ〟と言っていたが。もし本気でそう思っているのなら、王はご自分の性格が今一つ判っていないようだ。
「どれ、大変そうだから、予が持っていってやる」
 王が積み重ねた皿を取ろうとするのに、百花は声を上げていた。

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