夢で逢えたなら~後宮秘談~
第2章 揺れる、心
「結構です」
「―」
王が訝しげな表情を向けた。
「どうして?」
「私が叱られてしまいます」
これは嘘や偽りではない。先刻の大王大妃のあの冷たい視線を思い出すだけで、膚が粟立つようだ。花のような笑顔の中でただ一つ笑っていなかった瞳は心底、不気味であった。
あの美しくも冷え切った瞳の底に揺らめいていたのは好悪の感情ですらなく、大王大妃は百花を全く受けつけようとしていなかった。まるで、〝ここはお前のような者の居る場所ではない〟と、端から百花の存在そのものを否定されているような。
「―」
王が訝しげな表情を向けた。
「どうして?」
「私が叱られてしまいます」
これは嘘や偽りではない。先刻の大王大妃のあの冷たい視線を思い出すだけで、膚が粟立つようだ。花のような笑顔の中でただ一つ笑っていなかった瞳は心底、不気味であった。
あの美しくも冷え切った瞳の底に揺らめいていたのは好悪の感情ですらなく、大王大妃は百花を全く受けつけようとしていなかった。まるで、〝ここはお前のような者の居る場所ではない〟と、端から百花の存在そのものを否定されているような。