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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 王の端整な面がまた哀しみに翳ったのを目の当たりにし、百花は居たたまれない気持ちになった。
 これでは、まるで自分の方が悪いようではないか。
「こう見えても、力だけはございます」
 まるで言い訳のように―言い訳なんかする必要もないのに、口早に言うと逃げるようにその場を離れた。
 途中で顔見知りの女官とすれ違ったので、幸いにも空になった銚子の方を分担して持っていって貰うことができた。

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