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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 祖母や母だけでなく、彼の側室たちもまたいずれも美女揃いだ。種類は違えども、六人ともにそれぞれ世間でいう〝美人〟の水準をはるかに超えている。流石に父親どもが后がねとして差し出してきた自慢の娘たちだけはある。まあ、その中身はといえば、あまり彼の男心を引くような者はいないが。
 側室ではなくとも、眼を引かれる美しい女官は数え切れないほどいる。国王の立場からすれば、その中の気に入った娘を寝所に呼び、側室にすることもできる。けれど、そこまでして欲しいと思う娘は、正直、いなかった。

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