夢で逢えたなら~後宮秘談~
第2章 揺れる、心
態度一つ取ってみても、あの娘の言動は女官として適切ではない。先刻の態度にせよ、到底、王に対する物言いとは思えぬ不遜さだった。提調尚宮辺りが見れば、今度こそ間違いなく愼女官は鞭打ちの刑は免れないだろう。
―こう見えても、力だけはございます。
強い力を瞳に宿して、真っすぐに彼を見据えて言い切った、あの娘。
王はフッと笑った。
そんなことは判っている。小柄で痩せっぽちで、腕など王が少し力を込めて握れば折れてしまいそうなほど華奢なあの身体のどこに、一体、山ほどの洗濯物や皿を持ち上げる力があるのかと不思議に思ってしまう。
―こう見えても、力だけはございます。
強い力を瞳に宿して、真っすぐに彼を見据えて言い切った、あの娘。
王はフッと笑った。
そんなことは判っている。小柄で痩せっぽちで、腕など王が少し力を込めて握れば折れてしまいそうなほど華奢なあの身体のどこに、一体、山ほどの洗濯物や皿を持ち上げる力があるのかと不思議に思ってしまう。