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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 それは彼が国王で彼女が女官だからという身分的な理由だけではなさそうだ。愼女官は彼との間に壁を築いている。それも容易に崩せない、乗り越えられない固くて分厚い壁だ。
 どれほど心を込め、言葉を尽くして語りかけようとも、彼女はその心の壁の向こうに逃げ込み、頑なに出てこようとしない。彼が発した心からの言葉はすべて壁に当たり空しく砕け散ってしまうか、壁に阻まれて彼女の許に届かない。

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