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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 王の胸に言い知れぬ感情が渦巻いていた。これまで感じたことのないものだ。これらは何だろう? やり場のない想いはやがて焦りを生み、幾ら努力しても報われない―相手に届くことすらない心は絶望で満たされる。
 絶望しかない心は、醜い考えでどす黒く染まり、ついには頑なな相手に怒りすら憶えるようになる。
 これほど想っているのに、何故、振り向かない?
 これほど恋しいのに、どうして、自分の言葉に耳を傾けようともしないのだ。

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