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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 不思議だった。好奇心をかきたてる温かな引力のようなものがあの娘の全身から発散されているような気がした。
 一生懸命、まだ水が冷たいだろうのに、小さな手を真っ赤にして洗濯する姿から眼が離せなくて、物陰からずっと眺めていた。―それを知れば、あの娘はまた熟れた果実のように紅くなって怒るだろうか。
 彼が突然声をかけて愕かせてしまったせいで、折角の洗濯物が地面に落ちて台無しになった時、彼女は真正面から彼を見つめた。
―何てことするの!

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