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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 恐らく、沈貴人にあからさまな流し目を寄越されるときのような、胸の悪くなるような想いだけはしないだろう。
 あの娘に頼まれたら、自分は後宮中の女という女にすべて暇を出しても良い。何の興味もない女など幾らいても意味がない。本当に彼が欲しいと思うのは愼百花ただ一人なのだ。
 つまり―、素直に認めよう。自分はあの娘に恋しているのだ。十八年の生涯で初めて知った。男という生きものは本気で惚れた女はどうしても手に入れたい、抱きたいと願うものなのだと。

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