夢で逢えたなら~後宮秘談~
第1章 恋の訪れ
父は方々、知り合いを訪ねて金策に駆け回っていたのだが、どうやら思うようにいかなかったらしい。人とは実に無情というか、変わり身が早いものだ。順調にいっているときは誰もが近寄ってくるが、ひとたび逆境に陥ると、皆、顔を背け知らんふりをして自分までもが厄介事に巻き込まれまいとする。
父は一銭の金も借りられず、絶望して縊死を選んだのだ。父の野辺の送りは、ひっそりと行われた。簡素な葬式ではあったけれど、実に大勢の人々が集まってくれた。
だが、幼い百花はちっとも嬉しくはなかった。ある老婆は、
―あんな良い人がどうしてこんな酷い目に遭わないといけないんだよう。
と、泣いていた。
父は一銭の金も借りられず、絶望して縊死を選んだのだ。父の野辺の送りは、ひっそりと行われた。簡素な葬式ではあったけれど、実に大勢の人々が集まってくれた。
だが、幼い百花はちっとも嬉しくはなかった。ある老婆は、
―あんな良い人がどうしてこんな酷い目に遭わないといけないんだよう。
と、泣いていた。