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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 熱い涙が溢れそうになるのを眼裏で乾かし、百花は懸命に訴える。
「お願いでございます。どうか、どうか尚宮さま、今一度、提調尚宮さまにお願いしてみては下さいませんか。このお話をご辞退させて頂くようにとお願いして下さいませ」
「ならぬ」
 崔尚宮は先刻までとは別人のように、乾いた声音で切り棄てた。
「そなたとて、この話を断れぬのはよう判っておるはず。良いか、百花。これは、そなたの気持ちを訊ねておるのではなく、殿下よりの命令、王命だ。

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