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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 いやだ、行きたくない。このまま回れ右して、自室まで駆けて帰りたい。
 そう思っても、所詮叶わぬ望みであると判っている。なのに、身体は意思に反して、全く言うことをきかないのだ。
 突如、百花は背後から軽く突き飛ばされた。
 いつまでも愚図愚図している百花に焦れた崔尚宮の仕業だった。
「あっ」
 小さな悲鳴を上げ、華奢な身体はそのまま寝所の内へと転がるようにして倒れ込んだ。
 その隙に扉がさっと閉まる。

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