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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 百花は救いを求めるように扉を見つめたが、無情にも扉は固く閉ざされ、二度と開かなかった。
「―」
 じわりと、涙が滲む。
 後ろを振り向く勇気もなく所在なげに佇んでいると、ふいに後ろから手を掴まれた。
 掴んだ手のあまりの冷たさに、百花は〝キャッ〟と声を上げた。
 四月の初めとはいえ、まだ夜は冷える。冷えた夜気のせいなのか。
 百花は身体が小刻みに戦慄くのを感じた。

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