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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 震えながら振り返ると、王が無表情に立っていた。
「どうした、怖じ気づいたのか」
 言葉そのものは揶揄するような響きが込められていたものの、その静まり返った表情からは、およそ感情らしいものは窺えない。
「震えているな」
 王は抑楊のない口調で言うと、百花の手を軽く握ったまま、引っ張った。
「そのような場所に突っ立ったままでは、余計に身体が冷える。こちらへ」
 王の言葉は絶対である。百花は震えながら、その言葉に従うしかなかった。

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