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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

「呑んだことはあるのか?」
 問われ、百花は小さくかぶりを振った。
「一度も?」
 念を押されるのに、頷く。
「それでは、今宵、初めての酒を呑むが良い」
 百花は涙の滲んだ眼で王を見た。
「どうしても呑まねばなりませんか?」
「夫婦の契りを結ぶ夜の誓いの盃ゆえ、呑まねばならぬ」
 静かだが、有無を言わせぬ確固とした口調は、他人に命令し慣れた人間だけが持つ尊大さがある。

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