テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

「―」
 百花は横を向き、王からは見えないように盃に唇を当てた。相手の面前で盃を干すのは失礼に当たるため、横を向いて、できるだけ見えないように呑むのが作法である。
 ひと口含むと、思い切って呑み下す。何やら苦い液体が喉をすべり落ちたかと思うと、身体がカッと熱くなった。喉が灼けるようだ。
 子どもの頃に呑んだ苦手な薬湯よりも、更に不味かった。
「さあ、全部呑むのだ」
 その声に、百花はもうひと口含む。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ