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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 六歳で生母を喪った王は、この乳母を実の母のように慕っていた。
 今も臣下に訊ねるというよりは、その態度だけ見れば、息子が母親に甘えるようにさえ見える。
「珍しいな。何があっても取り乱したりせぬそなたがそのように慌てふためいているとは」
 からかうような口ぶりに、監察尚宮は眉根を寄せた難しげな表情で首を振った。
「笑い事ではございません。殿下、一大事にございます」
「一大事?」

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