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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第1章 恋の訪れ

 そのような経緯もあってか、百花は極めて現実的な面がありながらも、空想癖のある少女に成長した。その性格は何かと気苦労の多かった女官としての長年の日々にもいささかも損なわれることはなかったのだ。
 女官という職業というか立場はよく鳥にたとえられる。それは女官が一生涯、王宮の外に出られないからであった。
 むろん、二、三日の休暇は許されるし、百花のように下っ端の女官は尚宮などの高位の女官と違って比較的行動の制限は緩やかだ。
 それでも、女官が〝国王の女〟と見なされ、一生を通じて婚姻も叶わず、たとえ退職して宮外に出ても、結婚は許されないことに変わりはない。

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