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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第1章 恋の訪れ

 ゆえに、死ぬまで実家の厄介者になりたくなければ、家を出て寺に入る―つまり尼になるくらいしか生きるすべはないのである。〝国王の女〟という表現は、つまり、国王の妻であると示すものに他ならないが、現実には下級の女官が国王の眼に止まり、側室になるなどという僥倖は滅多とない。
 王の側室には大抵の場合、両班の家門から、それなりの格式を誇る良家の娘が選ばれて上がるからだ。
 むろん、女官が王の寵愛を受けることは結構あるにはあるのだが、それでも何千という女たちがひしめく後宮全体から考えれば、ほんのひと握りの確率にすぎない。

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