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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第4章 愛撫

 楊(ヤン)尚宮が執務室を覗いた時、国王は特に何をしているわけでもなかった。執務机の上には巻物状の読みかけの書類がひろげられたままの状態で置かれている。
 ぼんやりと頬杖をついていた王の視線は虚ろで、焦点が合っていない。よく見かける大殿内官が畏まって傍に控えていた。
「殿下」
 声をかけると、王がわずかに眼をまたたかせ、緩慢な仕種で楊尚宮を見た。
「何か用なのか、乳母」
「ご気分でも悪いのですか?」

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