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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第4章 愛撫

 王はわざとらしく机の上に置き去りにしている書状を手に取り、厭味たらしく言った。
「承知しました。それでは、はきと申し上げます。愼尚宮に殿下のお気持ちをそのままお伝えしては、いかがにございますか?」
 惚れているなら、〝好き〟と言いなさい―、もっともなことを言われ、王は更にむくれた。
「愼尚宮には何を申しても駄目だ。あの女の心は氷ででもできているのであろうよ。予が何と言おうと、言葉は届かぬ」
 楊尚宮のふくよかな面にふわりと優しげな笑みが浮かぶ。

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