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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第4章 愛撫

 王を育てた乳母は、けして美人ではない。元々ふくよかな女(ひと)であったが、歳を経てからはますます太り肉(じし)になったようだ。それでも、その容貌が優しい女らしさに輝いているように見えるのは、やはり、その人柄ゆえだろう。
 楊尚宮もまた、内面の美しさが平凡な器量を十人並以上に見せている類の女性だ。
 この時、王は、自分が母とも慕う乳母が、実は熱愛する愼尚宮ととてもよく似ていることに気付いた。それは単なる容貌の問題ではない。
 心映えの美しさがその女のいちばんの魅力となっている点が共通しているのだ。

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