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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 また数え切れぬほどの夜を共に過ごしても、床の中で乱れることはない。身体はすっかり馴れて、王の指先が触れただけで鋭敏に反応するにも拘わらず、時折あえかな声を洩らすだけで乱れもしない。
―何と強情な。
 王の中の焦りはますます募り、百花への扱いは更に苛酷なものとなった。最初の中はどれほど愼尚宮に惑溺しようが、明け方には彼女を解放していたのに、この頃では陽が高くなるまで―時には昼前まで二人きりで寝所に籠もっているときがある。

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