テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 そうなると、政務にも支障が出始め、左議(チヤイ)政(ジヨン)や右議(ウイ)政(ジヨン)が王に面会に大殿を訪れても、肝心の王は昼間から愛妾と寝室で淫らな行いに耽っている有様となってしまう。
 流石に見過ごしにできないと王の外祖父である領議政孫任徳は幾度も王に諫言を試みたが、王は全く聞く耳を持たなかった。
 王があまりに百花に執心するため、結局は〝愼尚宮が悪いのだ〟ということになる。殊に王が百花と寝所に籠もりきりで大臣たちとの御前会議にも出ないことが目立ってくると、
―愼尚宮はかつて燕(ヨン)山(サン)君(グン)を惑わした妖婦張(チヤン)緑水(ノクス)の再来だ。
 などと、実に不名誉極まりない声まで囁かれる始末だ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ