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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 権力で身体を奪われ、夜毎、陵辱の限りを尽くされた挙げ句に身ごもった。懐妊がもし本当だとしても、歓びはない。お腹の子は陵辱を受けた忌まわしい記憶を呼びさますものでしかない。むしろ、呪われた忌まわしい子どもにすら思えた。
 神仏はどこまで残酷な仕打ちをなさるのだろうか。
 百花は一人、ひっそりと涙を流した。  

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