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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 その日の昼下がり、金淑儀の訃報が後宮中に伝わった。
 金淑儀こと金温格は導宗の初めての御子を胎内に宿したまま、妊娠八ヵ月で亡くなった。わずか十五歳の若さであった。
 金淑儀の葬儀がしめやかに行われた後、導宗は妓生を集めては華やかな宴を幾たびも催した。宮廷には官妓といって、公に認められた妓生がいる。彼女たちは専門の学校で官妓となるための様々な修練を積み、晴れて試験に合格した選り抜きの妓生ばかりであった。
 そのため、舞、伽耶琴などの歌舞音曲、漢詩など、何を取っても第一級の才を持っている。

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