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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 仮にも側室とはいえ、妻が亡くなった―しかも胎内に初めての子を宿したまま、儚くなったのだ。王は一度に妻と子どもの両方を失ったことになる。なのに、妓生を呼んで、どんちゃん騒ぎをするのは狂気の沙汰だ。
 幾ら哀しみのあまり、自棄になったのだとはいえ、百花にはその心根が信じられない。
 金淑儀の懐妊が判り、王はしばらくは熱心に彼女の許に通っていたが、百花を召し出して以後は再び脚が遠のいていた。金淑儀は日がな王の訪れを病床で待ち続けたのに、王は百花との連日の情事に耽り、身重の彼女を顧みようとしなかった。

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