夢で逢えたなら~後宮秘談~
第5章 妖婦
金淑儀の死をも呑み込んで、刻は流れてゆく。幾度血生臭い悲劇が繰り返されようと、そこで生きる人々は何もなかったような顔で淡々と生きてゆくしか、すべはないのだ。
それが、歴史というものであり、一国の歴史が紡がれる王宮、更には後宮という場所で生きてゆく者の逃れられぬ宿命でもあった。
八月も十日を過ぎたある日、温昌淑が百花の部屋に尚薬を連れてきた。内官でもある尚薬は国王及びその一家、つまり王室の人々の係医でもある。むろん、王宮内で病人、怪我人が出た際は、その治療に当たった。
それが、歴史というものであり、一国の歴史が紡がれる王宮、更には後宮という場所で生きてゆく者の逃れられぬ宿命でもあった。
八月も十日を過ぎたある日、温昌淑が百花の部屋に尚薬を連れてきた。内官でもある尚薬は国王及びその一家、つまり王室の人々の係医でもある。むろん、王宮内で病人、怪我人が出た際は、その治療に当たった。