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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 尚薬が帰ったのを見届けた後、昌淑が眼を輝かせて近寄ってきた。
「どうして、そんな浮かない顔をしているの? あなたはこれで国王殿下のただ一人の御子の母君となったのよ」
「―昌淑。私、怖い」
 百花は昌淑に縋った。
「金淑儀は懐妊したばかりに、沈貴人に毒を盛られて死んだ。私だって、いつそうなるか判らない。ここは怖ろしい場所だもの。私は赤ちゃんなんて欲しくなかった。毎夜、辛くて恥ずかしい想いばかりして、その挙げ句に身ごもるなんて!」

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