テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

「百花、落ち着いて話を聞いて。あなたはいずれ私なんかがこうしてまともに話もできないような立場の人になるわ。あなたが生む子どもが王子だったら、将来、その子が国王になる。あなたは国母になるの」
「私は、私はっ」
 百花はその場に泣き崩れた。
 ―国母になんて、なりたくない。王子なんか生みたいとも思わない。
 これで、もう本当に尚宮として活躍する機会も永遠に失われてしまった。
 百花の大きな瞳から涙の粒がポロポロと流れ落ちた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ