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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

―たとえ、それが意に添わない妊娠であろうと、親になった以上、子どもに対して親としての責任があるのよ。
 つい今し方の昌淑の言葉は百花の心を鋭く抉り、奥深くへと沈んでいった。
 それは、不思議と百花の奥で眠っていた温かなものを呼び起こしてくれるようだ。
「あっ?」
 唐突に叫んだ百花に、昌淑が眼を瞠る。
「どうしたの? どこか具合でも悪い?」
「違うの、今、動いた」
「動いたって、何が」

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