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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

 百花は眼を丸くする昌淑に微笑んだ。
「お腹の赤ちゃん」
「えっ、嘘でしょう」
 まるで信じていない様子だったが、ややあって、思い出したように言う。
「そういえば、姉が言ってたわ。身ごもって五、六ヵ月になると、お腹で赤ン坊が動くのが判るようになるって。あれって、本当なのねえ。ね、ちょっと触らせて」
「もちろんよ」
 百花が頷くと、昌淑はおっかなびっくり、壊れ物に触るような慎重な手つきで百花の膨らんだ腹に触れた。

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