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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 すっかりというわけにはゆかないが、食事も以前と殆ど変わらず取れるようになった。あの老医者の〝愛想は悪いが、腕は良い〟という評判は真のことだろう。
 体調が良くなると、自然に心もすっきりと晴れやかになる。腹の赤児も元気によく動いていた。
 百花の気分の良い理由は、それだけではなかった。ここのところ―正確には金淑儀が亡くなってからというもの、王のお召しが一度もないからだ。

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