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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第6章 鷺草~真実の愛~

 楊尚宮の立場からすれば、無理もないことだ。十歳で即位して、いまだ後嗣のおらぬ状態で、王の身に変事があれば、王室の引いてはこの国の一大事である。本当は好きなだけ外を駆け回らせてやりたくても、できなかったはずだ。
―北園の水辺には、夏になると、鷺草がたくさん咲くのだぞ。真っ白でたおやかな花が群れ咲く光景は眺めていて飽きない。心が洗われてゆくようだ。  
 王は愉しげに語っていたが、百花には何の感慨も興味も湧かなかった。

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